先日油井亀美也さんがソユーズで国際宇宙ステーションへ到着したことが話題になっていますが、近々重要な任務が待っているのをご存知ですか?

それが宇宙ステーション補給機こうのとり5号機をキャプチャして国際宇宙ステーションにドッキングさせることです。

「こうのとり」5号機は2015年8月16日、H-IIBロケット5号機により種子島宇宙センターから打ち上げられる予定ですが、打ち上げから国際宇宙ステーションにドッキングさせるまで5日もかかるそうです。

油井亀美也宇宙飛行士がロボットアームを操作して「こうのとり」5号機をキャプチャする担当になっているんですよ。

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キャプチャまで5日もかかってしまう

それにしても気になるのが打ち上げ後からロボットアームでキャプチャ出来るまで5日もかかってしまうことです。

油井亀美也宇宙飛行士がソユーズで国際宇宙ステーションまで到着するまで6時間しかかからなかったのに、何故「こうのとり」5号機は5日もかかってしまうのか・・・

そこら辺が気になり調べてみました。

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燃料を節約するために時間をかける

「こうのとり」5号機を国際宇宙ステーションにドッキングさせるためには軌道面が打ち上げ場所である種子島宇宙センターを横切るタイミングで打ち上げなければなりません。

国際宇宙ステーションは90分で地球を一周していますが、この周回する面のことを軌道面と呼んでいます。

地球は24時間で1周するあいだに国際宇宙ステーションの軌道面が2回種子島上空を横切ることになります。

この2回のどちらかにタイミングを合わせて打ち上げることで、もっとも効率のよいドッキングになるんだそうです。

また国際宇宙ステーションは地上から400km上空を周回していますから、ドッキングさせるためには「こうのとり」5号機と並んで周回させなければならず、ここまで高度を上げるには「こうのとり」5号機のロケットエンジンが備わっておらず、それだけの燃料も搭載できないので不可能とのこと。

そこで一旦高度287kmの地点までロケットで飛行させ、それから飛行スピード調節しながら徐々に高度を上げて国際宇宙ステーションと同じ高度400kmまで上げていくとのこと。

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猛スピードでランデブー

国際宇宙ステーションは秒速7.8kmも猛スピードで飛行しているところへ同じ速度で「こうのとり」5号機を飛行させてドッキングさせるというのですから、地上で例えるなら全速で突っ走るバイクの運転手が手を繋ぐようなものだといいます。

国際宇宙ステーションの速度を時速に換算すれば約28,000kmになりますから、せいぜい時速200km位しか出ないバイクよりいかに速いかおわかりでしょう。

もっとも宇宙空間ですから風の抵抗が無いので比べようがないかもしれませんが、ロボットアームも地上では水中で訓練するといいます。

それくらい慎重に取り組まないと上手くいかない作業なんでしょうね。

結局打ち上げからドッキングまで5日もかけるとというのは、ミッション全体のコストやドッキング失敗のリスクを勘案しての工程なんでしょうね。

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「こうのとり」5号機に積まれているもの

「こうのとり」は宇宙飛行士の生活物資や各種実験機材を国際宇宙ステーションまで届けることが使命の無人補給機ですが、今回の5号機には何が積まれているのでしょうか。

もちろんこれまでと同じく宇宙飛行士の生活物資は積まれているはずですが、そのほかには当ブログでも記事にしている「ダークマター」の観測機材とサントリーの各種お酒です。

特に「ダークマター」の観測機材は油井亀美也宇宙飛行士がもっとも力を入れている案件なので、ロボットアームを操作する手には力が入ることでしょう。

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流星観測衛星「S-CUBE」も搭載

そして意外に注目されていないのが流星観測衛星「S-CUBE」です。

この衛星は千葉工業大学惑星探査研究センターと東北大学が共同開発したもので、今回の「こうのとり」5号機に搭載したいと、安全審査・適合性確認審査を通過して決まったとのこと。

この流星観測衛星「S-CUBE」ですが、可視カメラと紫外線センサで流星の発光メカニズムの解明や流星の元となる塵の成分を分析することが目的だとか。

千葉工業大学といえば流星観測カメラ「メテオ」をアメリカの民間のロケットを利用して打ち上げようと試みたところ2回連続で打ち上げに失敗するといった不運に見舞われてことが最近ありましたが、その兄弟ミッションということでもあるそうで、今回の打ち上げで順番が逆になってしまったみたいです。

今回の「こうのとり」5号機打ち上げに伴う各実験には注目される点がいっぱいありますね。

宇宙飛行士の皆さんのご検討をお祈りします。

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