しばらく入ってこなかった「ロゼッタ」の情報ですが、先ごろ流れてきた情報によると、彗星の内部を分析したら地球の水と構造が異なることが判り、その結果、地球に海をもたらした天体は小惑星の可能性が高いと結論づけたとのこと。
ロゼッタ探査機に搭載されていた着陸機「フィラエ」が、彗星の内部を観測したデータを分析したところ重水素の構造が地球の水とまったく違っていたと確認できたそうです。
これは何を意味するのかというと、重水素の割合で水の起源が判るというのです。
つまりロゼッタが着陸した彗星の水の成分が地球の水と重水素比率が違うということは、彗星以外の天体である「小惑星」しかないという結論に達したそうなんです。
地球の海は彗星が運んできた学説が有力だった
地球の海が何処からもたらされたのかは、これまでの定説といえば「彗星」から来たものでした。
20011年10月英科学誌ネイチャーに発表された研究結果 によると、宇宙望遠鏡に搭載された赤外線装置で地球の近くを通過した彗星の氷を分析したところ重水素の比率が地球と同じだったそうです。
この研究結果を元に導かれた学説が、地球が誕生して約800万年後に複数の彗星が衝突した時にもたらされたものとなったそうです。
それまで彗星が地球の海を造ったという学説がこの研究結果が一定の支持を得られた形になっていました。
ところが今回のロゼッタによる観測でこの説が崩れてしまいました。
2014年12月10日米科学誌サイエンスの発表では「小惑星」としか考えられないとなってしまったのです。
これには私も驚きました。
というのは彗星は「汚れた雪だるま」と言われているくらい水分が多いとされ、地球の海は彗星くらいしか考えられないと思っていたからです。
また小惑星はほとんどが岩石でできていて水分はないと思っていたからです。
これはいったいどういうことなのかといろいろ調べてみたところ、彗星が水を運んできたという説は近年崩れつつあったみたいで、水を運んできたのは小惑星ではないか?といった学説も浮上していたようです。
ただ、どちらが運んできたかは今のところ不明みたいで、今回の分析結果はより複雑になってしまったようです。
ただ一つ言えることは、これまでは赤外線装置での観測で得られた数値だけで結論付けていたものが、今回は実際に着陸機「フィラエ」が彗星に着陸して彗星の内部を分析した結果なので信憑性が高いものになります。
小惑星でも水分を含んでいる
「はやぶさ関連記事」でも書いているように「はやぶさ2」が向かっている小惑星「1999JU3」は有機物や水分を含んでいることが地上からの観測で判っているように、小惑星でも水分を含んでいるんです。
ということは、この小惑星も太陽に近づけば水分が蒸発して尾を引く可能性が高く彗星と呼ばれるかもしれません。
いったいどう判断したらいいのでしょうか?
毎年発見される天体は小惑星がダントツに多い
地上からの観測技術の発達や人工衛星からの観測など、新天体の発見が急激に増えたそうで、その中でも小惑星の発見が多いそうです。
ちなみにこれまでの発見数は
彗星: 4,000個
小惑星:65万個
小惑星の発見がけた違いに多いことが判りますね。
この数字を見ただけでも地球の海が小惑星から届いたと考えたほうが自然ですね。
彗星と小惑星の違いとは
彗星と小惑星の違いは、実ははっきりしていないそうです。
私は以前から、彗星は尾を引いて楕円軌道を持つ天体で、小惑星は火星と木星の間にあり太陽を中心に公転している天体と思っていましたが、詳しく調べてみたらそうでもないようです。
というのは小惑星だと思っていたのが突然ガスを噴き出して彗星に変更されたりすることもあるからです。
また小惑星でも彗星のような軌道を採っているものもあるみたいで、結局のところ違いはないみたいで、あいまいな状態なんだそうです。
何だかスッキリしないのでいろいろと調べてみたら一つの結論に達しました。
「国際天文学連合」による惑星の定義によると現在、彗星と小惑星ははっきりとした区別はなく「太陽系小天体」と呼んでいるそうです。
結局、お湯と水の区別がつかないように彗星と小惑星も区別できないとの判断でしょうね。
私個人的には小惑星という呼び方は廃止して全て彗星と呼ぶようにしてもらいたいです。
そっちの方が何となくロマンがあって良いですから(^^ゞ