季節で遷り変わる星空を見上げると様々な星座が目に飛び込んできます。
夏であれば「さそり座」、冬であれば「オリオン座」など、どれも特徴的な形で観ているだけで癒されますよね。
ただしコレは南の方角でのこと。
反対の方角、北を観ると年中同じ位置に輝いている星があります。
それが北極星
いつも真北を示しているので、方角を知る上で重要な手段となります。
今回は北極星の見つけ方と、その位置が変わらない理由や天体観測で重要な理由について解説します。
北極星はこうして見つける
北極星はこぐま座の尻尾に当たる別名「ポラリス」と呼ばれるこぐま座α星のことをいいます。
すでに知っている方もいるかも知れませんが、北極星は二つの星座を使って探します。
それが「おおぐま座」と「カシオペア座」
おおぐま座のひしゃくの部分とカシオペア座のWを使って探します。
この画像は3月下旬の夜8:00、北の空を表したものですが、1時間ごとに30度ずつ左回転していき、これを「日周運動」と呼んでいます。
目印として利用されるおおぐま座は、7つの星から作られる「北斗七星」と呼ばれる大きなひしゃくのような形をしています。
そのひしゃくの先端部分の二つの星の間隔を5倍延長した位置にあるのが北極星です。
一方カシオペア座を利用する方法は、Wを形作っている5つの星の一番目から2番目、5番目から4番目の星を延長して交わる点と3番目の星を結んだ距離を5倍延長したところに北極星があります。
北斗七星とカシオペア座では北斗七星で探した方が簡単ですが、どちらにしても言葉にすると分かり辛いので画像をよく見ておおよその感覚で探せばすぐに見つかります。
北極星の周辺にはさほど明るい星は無いので簡単に見つかりますよ。
こういった知識は万が一道に迷ったときに方角を確認できる方法として重要なポイントとなり是非覚えておいてもらいたいものです。
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天体観測で北極星が必要な理由
天体観測をするときにまず最初に探すのが北極星で、初心者はもちろんベテランでも必ず北極星は確認します。
どうして北極星を探すことが重要なのかというと、それは北極星を天体望遠鏡の赤道儀を設定しないといけないからです。
もしこの設定を怠ると、赤道儀を使っている意味がなくなり、経緯台式の天体望遠鏡と変わらない性能になってしまうからです。
天体望遠鏡は経緯台式と赤道儀式がありますが、どちらも二つのハンドルが付いています。
経緯台は日周運動による星の動きを上下、左右の二つのハンドルで追尾することになりますが、赤道儀の極軸を北極星に合わすことで、ハンドル1つで追尾することが可能になります。
ましてや現在は自動で追尾してくれる赤道儀が主流となっていますから、北極星のセットは必ず必要になります。
実は北極星も動く
北極星が真北を差したまま何故、動かないのかというと、地球の自転軸が北極星と一致しているからです。
しかし厳密に言うと北極星と地球の自転軸は少しだけずれている為、天体望遠鏡で北極星を観察すると動いていることが確認できます。
そのズレは角度にして0.85度。
小さいようで結構大きなズレで、暗い天体を撮影するときには露出時間が長くなるので被写体のズレを少なくするために微調整して真の北極に合わせるそうです。
北極星は3重星
北極星のポラリスは表面温度は6000~8000度で太陽とほぼ同じですが、大きさは太陽の30倍と大きな恒星です。
太陽から430光年離れており、大きさの割には2等星となっていますが、変光星として知られています。
その原因というのがポラリスは連星となっているからです。
その連星というのがポラリスAとポラリスBが2400AU離れて公転し、ポラリスAには17AU離れた非常に近いところを公転している伴星を持っています。
口径60mmの天体望遠鏡であればポラリスAとポラリスBが分離した状態で観られるとのことで、日周運動も含めて連星としての北極星を観察するのも面白いかもしれません。
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北極星はいずれ他の恒星と交代する
現在真北を差すことで重宝されている北極星はこぐま座の「ポラリス」と呼ばれる恒星ですが、将来他の恒星に取って代わることが分かっています。
その恒星とは白鳥座のデネブやこと座のベガなど、夏の大三角を形成する恒星が北極星になったり他の恒星にも取って代わるんだそうです。
その理由は地球の自転軸がコマのように首振り運動をしている(歳差運動)からとされ、その周期は約2万5800年とされています。
動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻
私たちが生きているうちは北極星が交代するようなことはありませんが、未来に行けるような事が可能になればどのような恒星が北極星になっているのかこの目で確かめたいものですね。
南極星はあるの?
北極星があるのなら南極星もあるのでは?と考えるのは誰しも思はず。
しかし、残念ながら南極星に相当する恒星は無いようです。
かろうじて南極軸の延長上に恒星(はちぶんぎ座のσ星)があるようですが、5等級と肉眼でも見つけにくいとされ、とても南極星と呼べる代物ではないとのこと。
ということは南半球で天体観測している人にとっては赤道儀の極軸を合わせる南極星が無いとなるとやりにくいでしょうね。
北極星の見える日本で天体観測ができることに感謝ですね。