ガンマ線バーストってご存知ですか?
近年話題に上っているベテルギウスの超新星爆発で発生し、地球に命中すれば人類が絶滅すると騒がれているあの天体現象です。
オゾン層を破壊して有害な紫外線が地上に降り注ぎ、生命の大量絶滅を引き起こすとされる現象で、全貌は解明されていない不気味な現象として恐れられています。
多くは謎に包まれているようで、分かっているのは感知しているガンマ線バーストが天の川銀河の外からやってくるということ。
それだけに地球の大気に吸収され殆ど無害とされています。
もし天の川銀河内で起これば地球の運命は・・・
そんなガンマ線バーストには2種類があるとされ、発生起源も違ってくるそうです。
今回はガンマ線バーストがどのように分類されているのか調べてみたのでご紹介します。
ガンマ線バーストの発生源には2種類ある
ガンマ線バーストは宇宙でも屈指の破壊力を持つとされていますが、そんな破壊力を持つエネルギーはどこから得られたのでしょうか。
それにはガンマ線バーストが発生する瞬間に違った2種類のプロセスがあります。
またプロセスによってガンマ線バーストの継続時間も違ってきます。
以下はあくまで仮説であって証明されているものではありません。
超新星爆発によりブラックホールの生成とともに発生
恒星の核融合に必要な燃料が尽きて最後を迎えるときに質量の大きさにより最後の姿が違ってきますが、太陽の30倍以上の質量を持つ恒星は超新星爆発を起こすとともにブラックホールが形成され、同時にガンマ線バーストが発生すると考えられています。
こうして発生したガンマ線バーストは数秒から数分間と継続時間が長くなり、これを「ロング・ガンマ線バースト」と呼んでいます。
中性子星の衝突、合体により発生
中性子星同士が合体するときに発生するガンマ線バースト。
二つの中性子星が合体するときにブラックホールが出来て、そのときにブラックホールが形成されると考えられています。
ガンマ線バーストはそのときに発生すると考えられ、ブラックホールの周りに磁気を帯びたガスが回転して磁場が発生し、中心から超高温の粒子が光速で放出されるビーム、これがガンマ線バーストとなると考えられています。
こうして発生したガンマ線バーストの継続時間は2秒にも満たない、平均継続時間にして0.3秒とされ、これを「ショート・ガンマ線バースト」と呼んでいます。
このようにガンマ線バーストは発生源のプロセスが違いますが、50光年以内で照射を受ければ壊滅的な被害を受けるものの、距離が遠くなればなるほど拡散するので照射エネルギーは距離に応じて減衰されるものと考えられます。
ガンマ線バーストの発見経緯
ガンマ線バーストは1967年にアメリカが他国の核実験による放射線を監視するために打ち上げられた人工衛星により、発生源が不明の放射線として検出されたのが最初とされています。
その後の観測で1973年にガンマ線バーストが太陽系外からやってきたことを突き止め、今のところ感知した全てのガンマ線バーストは天の川銀河の外からやってきたとされ、発生源の銀河も複数が特定されています。
数ミリ秒から数分程度の短い時間に高エネルギーのガンマ線を大量に放出した後、急激に暗くなるのが特徴です。
ベテルギウスは超新星爆発を起こしてもガンマ線バーストは発生しない?
当ブログで何度もベテルギウスの超新星爆発について書いてきましたが、その際にガンマ線バーストが発生するとしてきました。
ところが、今回調べてみて、どうやらベテルギウスが超新星爆発してもガンマ線バーストは発生しないようで、自転軸の2度の範囲が危険となっているとされるガンマ線バーストについては発生しないのであればより安心してよさそうです。
というのも、ベテルギウスは太陽質量の25倍とされているため、超新星爆発を起こしてもブラックホールを形成することは無く中性子星止まりということになるからです。
ガンマ線バーストの発生は質量が太陽の30倍必要とされているため、ベテルギウスの25倍ではガンマ線バーストの発生は無いと考えられます。
ガンマ線バーストの威力は数千光年まで到達
超新星爆発を伴うガンマ線バーストは50光年までの惑星に住んでいる生命体を壊滅状態に追い込むとされ、条件さえ揃えば数千光年先の生命体まで壊滅状態にすると考えられます。
その条件とは超新星爆発を起こした恒星の自転軸が向いているかどうか。
自転軸を中心に2度の範囲でガンマ線バーストの照射を受けると考えられています。
ガンマ線バーストの速度はほぼ光速
気になるのは天の川銀河内でガンマ線バーストが発生して、自転軸が地球の方向を向いているとしたら・・・
残念ながらガンマ線バーストの速度は若干同じながらも、ほぼ光速と同じなので成す術はありません。
夜空を見上げてピカッと光ったら同時にガンマ線の照射を受けオゾン層が破壊されて有害な紫外線を受けるわけですからどうしようもないですよね。
助かる方法があるとしたら、放射線を遮るシェルターにでも隠れるかですが、破壊されたオゾン層は修復されるまで数年かかるとされますから、それまで耐え切れるのかということです。
まるで核戦争でも起こったような世界となるかもしれません。
ガンマ線バーストの観測でまずは謎の解明に期待
こうしたガンマ線バーストの観測は世界中で行われているようですが、日本ではX線天文衛星「すざく」が作動中で、今後の観測により謎の解明が期待されています。
2017年に世界で初めて中性子星同士の衝突による重力波の検出に成功し、その後、超新星爆発やブラックホール同士の衝突、合体による重力波の検出もされています。
まだまだガンマ線バーストから身を守る対策には取り掛かれる状況ではないかもしれませんが、ガンマ線バーストを受けたときの対策を発案するくらいの時期に来ているのかもしれません。