ここのところ話題に上ることなく忘れ去られている感のあるベテルギウスの超新星爆発。
現在ベテルギウスはとんでもない大きさになって、形まで歪になり、今にも破裂しそうなんだとか。
その大きさとは太陽系で例えるなら木星軌道までになるといいます。
天文ファンにとっては待ち遠しい天体ショーですよね。
何時爆発するのかは神のみぞ知るとして、ベテルギウスがどうしてとんでもない大きさになってしまったのか気になりませんか?
ベテルギウスがとんでもない大きさになってしまった原因って何だろう?
そこで今回はベテルギウスの現在の大きさとについて注目してみます。
ベテルギウスの質量は太陽の20倍
恒星は質量が大きいほど寿命が短いので太陽よりも短命に終わる運命にあります。
これは質量が大きければ大きいほど中心部は高温、高圧になるので核融合が加速度的に進んでしまい、核融合の燃料である水素の消費も加速度的に多くなってしまうからです。
詳しい解説はこちら:恒星は質量が大きいほど寿命が短い
ちなみに太陽の寿命は質量から計算すると100億年とされており、現在46億年くらい過ぎたところと考えられ人間で言えばまだ壮年期といったところです。
ベテルギウスの質量は太陽の20倍。
この質量から計算するとベテルギウスの寿命は1000万年となり、誕生からすでに99.9%過ぎていることになるため、残りの寿命は1万年ということになります。
ベテルギウスの余命はあと1万年?
ただし、これも計算上のことであり、実際には何時超新星爆発を起こして最後を迎えるのかは分からないといいます。
ベテルギウスは終末期を迎えて膨張している
恒星は質量により最後が違ってきますが、太陽のクラスの恒星では最終段階で赤色巨星となり、太陽の20倍という質量の恒星(ベテルギウス)となると終末期に向かって膨張し始め、最後の段階になると赤色超巨星となります。
そもそも恒星というのは内部の核融合による膨張圧力と、自らの重力による中心部への収縮力とのバランスで大きさを保っています。
恒星の最終段階で膨張するということはそれだけ膨張圧力となる核融合反応の勢いが勝っているわけです。
現在ベテルギウスは太陽の1000倍くらいの大きさにまで膨張し、太陽系で言えば木星軌道くらいまで膨張しているとされています。
身近なもので例えるなら、直径1mのバランスボールが直径1kmの巨大な小惑星に変身したようなものです。
ではどうしてそのような現象が起こるのか・・・
それは水素が核融合した後の燃えカス(この場合ヘリウム)が関係しています。
ベテルギウスが赤色超巨星になるメカニズム
何故、ベテルギウスは終末期を迎えるにあたって膨張し始めて赤くなるのか・・・
ここはJAXA「赤色巨星」からの引用となります。
それは恒星内で起こっている核融合のメカニズムにあります。
恒星が正常に核融合しているときには水素が核融合によりヘリウムに変換され、変換される際に熱を発することでこれがエネルギーとなり恒星は輝いています。
この状態の恒星を「主系列星」と呼んでいますが、太陽も中心部で核融合が継続して起こっているので主系列星に属しています。
恒星は中心部で水素を燃料として核融合を起こしてヘリウムに変換していますが、しだいに中心部にはヘリウムが溜まっていきます。
すると核融合はヘリウムの周辺で起こることになるので、自らの重力によるヘリウムの収縮力よりも水素の核融合による膨張圧力が高まり恒星は膨張を始めます。
それが赤色巨星の大まかなメカニズムです。
水素が外側で核融合を起こすので膨張するんだね。
ベテルギウスクラスの質量の大きな恒星となるとこれで終わりではありません。
今度はヘリウムからなる中心核が自らの重力で収縮し、さらに高温、高圧になるため核融合を起こすようになります。
こうしたメカニズムでその後も次々と重い元素に変換され最後に鉄に変換されますが、鉄は安定しているので核融合を起こすことはありません。
そのときの恒星の内部はこのようになっています。
星は内側から、鉄 ( Fe ) 、ケイ素 ( Si ) 、酸素 ( O ) 、ネオン ( Ne ) 、炭素 ( C ) 、ヘリウム ( He ) の各層と、水素 ( H ) の 最外層からなる、タマネギを輪切りにしたような構造へと形成されます。
つまり中心部での核融合はここで終了となります。
しかし中心部の周辺ではケイ素、酸素、ネオン、炭素、ヘリウム、水素の各層で核融合が進行して次々と表面にシフトしていきます。
これが更なる膨張圧力となり巨大化していくのです。
巨星となって赤くなるのは、同じ熱エネルギーで膨張した分だけより広い表面に熱が分散されるために表面温度は低くなり赤くなるのです。
これが赤色超巨星に至るメカニズムです。
動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻
ベテルギウスが超新星爆発する確立は70%
鉄が中心核となり周辺の元素による核融合が終了すれば、表面に向かっている膨張圧力が無くなるので残るは恒星自らの重力だけになります。
その瞬間「重力崩壊」を起こして全ての元素は中心核に向かい、その反動で爆発を起こします。
その威力たるや凄まじいエネルギーで、太陽が100億年かけて放つエネルギーを1秒にも満たないほんの一瞬で放つといいます。
これが超新星爆発で、その後に残されるのが中性子星やブラックホールです。
しかし、最新の研究によると中には超新星爆発を起こすことなくブラックホールに移行していく恒星も見受けられ、計算によれば宇宙の30%は超新星爆発を伴わないと考えられているようです。
ベテルギウスは確実に超新星爆発を起こすとは限らないんだね。
ベテルギウスは太陽の20倍の質量ということで超新星爆発後に中性子星が残ると考えられていますが、ひょっとしたら超新星爆発を起こすことなく中性子星になるのかもしれません。
いや、すでになっているのかも・・・
だとすると気がつかないうちにオリオンの右肩(ベテルギウス)は消えてなくなっていたなんてことになるかもしれません。