球状星団NGC6093(M80)

宇宙には様々な姿をした天体がありますが、中でも沢山の星が集まっていろんな姿を見せてくれる「星雲」があります。

オリオン座大星雲やアンドロメダ銀河といった特徴的な星雲は一度目にすると記憶に残る天体ではないでしょうか。

そんな煌びやかな天体をよそにあまり注目されないと感じてしまう天体に「球状星団」と呼ばれる天体があります。

画像を見るとただ星が密集しているだけの天体で、さほど興味を抱くことは無いかもしれませんが、一見地味に見える球状星団は、意外と複雑な性質を持っているようで、しかも中心にはブラックホールも潜んでいるんだとか。

よくよく考えれば球状星団の恒星はどのように動いているのか気になります。

そんな球状星団に注目してみました。

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古い恒星が高い密度でひしめき合う球状星団

球状星団は、直径100~300光年程度の空間に数十万個もの恒星がひしめき合っている状態になっている星団です。

中心部に近いほど恒星の密度は高くなり、中心に巨大なブラックホールがある球状星団もあるといいます。

星団の多くは古い星から構成されているとされ、100億年という長い期間存在しています。

星の密度は宇宙の中でどの銀河よりも高いとされ、それだけに星の衝突や干渉も頻繁に起こっていると考えられています。

どのくらい多くの星がが密集しているのかというと、たとえば、太陽から最も近い恒星はプロキシマケンタウリですが、距離にして4.2光年あります。

球状星団の中心部では、この4.2光年を半径とした円の中に数千個もの恒星がひしめき合っていると考えられているのです。

太陽系周辺の何も無い領域と比較してもどれだけ恒星が密集しているのかが分かりますよね。

球状星団は宇宙でもっとも多くの恒星が密集しているためにお互いの重力により出来た「共通重心」の周りを公転していると考えられ、これが球状を保つ一つの要因と考えられています。

また、中心にはブラックホールが存在していると考えられ、恒星は連星を組みながらブラックホールの周りを縦横無尽に公転していると考えられています。

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球状星団は銀河のハローに分布

球状星団は銀河のハローと呼ばれる領域に広く分布しています。

ハローとは銀河を球状に包み込むような領域のことをいいます。

天の川銀河で例えるなら、超巨大ブラックホールを中心とする「バルジ」の外側を10万光年という直径の渦巻状の「ディスク」が取り囲んでいるような形で、その周りを球状に包み込んでいるのがハローです。

ハローは銀河の中心から均等に重力が働いているとされ、この部分に球状星団が広く分布しているとされています。

そのイメージ画像がコチラ
     ↓↓
天の川銀河における球状星団の分布イメージ

球状星団の形成過程

観測技術とコンピューターシミュレーションの発達により球状星団の形成過程が見えてくるようになりました。

こうした球状星団はどのようにして出来たのかというと、これには2通りの出来方が考えられます。

銀河同士の衝突の際の生き残り

一つ目は、銀河が衝突してたときの生き残りではないかという考え方。

宇宙が誕生して間も無い頃、およそ100億年前には小さな銀河が衝突や合体を繰り返しながら成長していったといいます。

初期の宇宙は今よりも銀河が小さく、かつ銀河同士の距離が近かったために衝突や合体を繰り返していたと見られ、今でも宇宙の何処かで銀河の衝突や合体はハッブル宇宙望遠鏡でたびたび捉えられています。

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた銀河同士の衝突

銀河が衝突すると双方の銀河のガスが圧縮されて新たな恒星が誕生しやすくなることから、恒星の集団も出来やすくなり、これが球状星団となったのではと考えられています。

ただし、球状星団が誕生した後も銀河衝突により消滅していまう球状星団も多いそうで、そこで生き残るのはより大きな球状星団ということになるそうです。

こうして形成された球状星団は銀河衝突のたびに銀河の外にはじき出され、ハローと呼ばれる球状星団が広く分布する今の姿になったのではと考えられています。

球状星団が100億年もの長い期間生き続けられているのは、ハローという銀河の引力が安定した“安住の地”に位置しているからと考えられています。

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伴銀河に存在している球状星団が生き残った

2つ目は伴銀河が球状星団をもたらしたという考え方です。

天の川銀河にはおよそ30個もの伴銀河があるとされ、「大マゼラン雲」や「小マゼラン雲」も伴銀河の一つです。

伴銀河には球状星団を伴っていることも分かっており、やがてこれらの球状星団を伴う伴銀河は天の川銀河に落ちて合体するものと見られています。

しかし伴銀河にお供してきた球状星団は運命を共にすることなく天の川銀河の周りを公転し続けると考えられています。

なぜなら球状星団は密集している恒星同士の重力で結束しているために天の川銀河に飲み込まれることは無いというのです。

まるであり地獄にはまった昆虫が子供だけは助けないとと持っていた卵を外に放り投げたようなイメージがありますね。

そのような現象が積み重なって銀河のハローには多くの球状星団が分布しているのではないかと考えられています。

惑星の存在は困難?

気になる惑星の環境ですが、球状星団では恒星が密集しているために、恒星の軌道が安定しないと考えられます。

したがって惑星の軌道も安定しないどころか、多くの場合外に弾き飛ばされてしまうような環境といえるようです。

なので球状星団の中で生命体が進化できるとは考え難く、ましては人類のような知的生命体が居るとは考えられません。

ある科学者が高度な文明を築いた知的生命体は球状星団の中に潜んでいると主張していましたが、どうやら古い恒星が多いことから人類よりも長い歴史を理由に考えているようですが、恒星の密度から考えればかなり無理がある考え方のように思えてしまいます。

球状星団にも寿命がある

こうして様々な修羅場を乗り越えて天の川銀河の外で生き残った球状星団もやがて死を迎えるときが来るといいます。

球状星団は天の川銀河の周りを数億年かけて公転しているとされていますが、天の川銀河の強い引力により引き伸ばされ、最後には天の川銀河を取り囲むリボンののようなリングになると考えられています。

ただ、リング状になることが球状星団の死にあたるのかどうかは個人の見解によりますが・・・