スペースシャトル

今では運用が終了してしまっていたスペースシャトルですが、何度か地球に帰還する姿をテレビで見た人も多いのではないでしょうか。

宇宙から大気圏に突入して飛行機のように滑走路に着陸する姿は未来の宇宙旅行はこんな感じなのかなって観ていたのでは。

ところでこのスペースシャトルはジェットエンジンを搭載していないことはご存知ですか?

知らない人は飛行機みたいに普通にジェットエンジンを吹かして滑走路までたどり着いているとみていたでしょうね。

実は私も最初はそう見ていました(^^ゞ

実はスペースシャトルはグライダーみたいに風を受けながら飛行しているだけなんですよ。そして滑走路に着陸したらパラシュートで減速して止まるんです。

フライトシミュレーターX (FSX) スペースシャトル エンデバー号 帰還

何とも原始的な・・・・

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ジェットエンジンを使わないのは危険だから

ジェットエンジンは空気があって初めて推進力を得ることができます。ということは宇宙空間では空気がありませんからジェットエンジンは作動しません。無用の長物ということです。

しかもジェットエンジンを取り付けるだけで打ち上げ時の燃料が余分に必要になります。

ロケットを打ち上げる時には燃料の重さが全体の重さの90%を占めると言われているくらいロケットの打ち上げには大量の燃料が必要になるのです。

スペースシャトルの打ち上げとなると本体を打ち上げるためにタンクが3つも付いたロケットを使用して打ち上げているのです。

その画像がコレ
スペースシャトルにタンクが3つも付いたロケット

先日はやぶさ2の打ち上げに成功しましたが、これだって本体は600Kgですよ。

600kgのはやぶさ2を打ち上げるだけであんなに大きなロケットを使わなければいけないのですから、85トンものスペースシャトルを打ち上げるためにはいったいどのくらいの燃料が必要なのか・・・

そう考えるだけでジェットエンジンの必要性は無いとの結論に達したのでしょうね。

またロケットの打ち上げには大気圏脱出速度に達しないと地球の周回軌道に乗れません。

時速28,800Kmです。とてつもなく早いスピードです。これでは大量の燃料が必要なわけですよね。

結局、ただ大気圏突入後に使用するだけなら搭載しない方が安全と言えるのです。

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ロシア版スペースシャトルにはジェットエンジンが搭載されていた

ジェットエンジンについて調べていたら、何と旧ソ連がスペースシャトルに対抗して自国のシャトルを開発していたそうです。

そのシャトルには2機のジェットエンジンが搭載されていたそうなんです。

そのシャトルの名前は「ブラン」と呼ばれていたそうなんですが、1988年には打ち上げ後、地球を2周して滑走路に自動着陸したそうです。

ブランは2機のジェトエンジンで着陸地点はかなりの自由度があったそうです。

ちなみにアメリカのスペースシャトルは滑走路に着陸する直前までは全自動で降りてきて、そこから手動で着陸しなければならないそうです。

またブランは構造的にアメリカのスペースシャトルより簡素化されていて開発コストもかなり安かったとのこと。

そう言った意味では当時のソ連の方が一歩先に行っていたともいえるのですが、2002年にブランを保管してあった格納庫で事故があり崩壊してしまったそうです。

ソ連も1991年に崩壊してかなりの苦しみを味わったようで、宇宙開発まで手が回らなかったのではないでしょうか。

スペースシャトル着陸訓練機がある

スペースシャトルはグライダーの要領で滑走路までたどり着くわけですが、そこまではコンピュータ制御で誘導してくれるそうですが、着陸は人の手で行わなければなりません。

ということはスペースシャトルでの着陸はぶっつけ本番ということ?って思っちゃいますよね。

実はそのために「スペースシャトル着陸訓練機」と呼ばれる一般的なビジネスジェット機を改造した飛行機があるのです。

その姿がこちら

スペースシャトル着陸訓練機
出典:NASA

もっとも、大きさはスペースシャトルよりかなり小さくて、高さにして4~5メートルも低いのでコックピットでの視線はスペースシャトルを想定して4~5メートル高くしていたそうです。

したがって、着陸は滑走路よりも4~5メートル高い位置に降りることができればOKとなるように訓練するそうです。

それにしてもアバウトな感じがするのですが・・・・

スペースシャトルの事故やコスト高でオリオンを開発

スペースシャトルは2度の事故により多くの尊い命が奪われ、その教訓から様々な整備点検が行われてきたことで、計画当初は何度も使いまわして経済的と思われてきたスペースシャトルが実際はよけいにコストがかかってしまう結果になったとのこと。

つまり現状ではスペースシャトルのように滑走路までたどり着くような帰還の仕方に無理があったと言えるでしょう。

そんな背景があったからこそ「オリオン計画」が持ち上がったとのこと。

スペースシャトルのような帰還方法を採用するまでは円錐型の宇宙船で海上にパラシュートで降下していたんですが、オリオン計画はその方法に逆戻りしたのです。

結局海上にパラシュートで降下した方が安全で安上がりということが今になって判ったのでしょうね。