天文ファンならだれでもが見てみたい星雲といえばアンドロメダ銀河ですよね。
何といっても肉眼でも見ることができるくらい大きいし、写真で見ると渦を巻いていてカッコいいですもんね。
でも実際に望遠鏡でアンドロメダ銀河を見てみるとただの雲みたいでがっかりしちゃいます。
実はこれってほとんどの人が感じるんです。それは写真を見ているから。
しかし、写真を撮るとこれが意外にきれいに撮れるんです。
雑誌などで掲載されているアンドロメダ銀河はそのほとんどが渦を巻いた姿が映っていますが、実際にもれに近い写真が撮れますよ。
必要機材は以下の通り
カメラだけで撮るなら200mm~300mmの望遠レンズが必要
アンドロメダ銀河を撮影するにはカメラが必要になりますが、標準レンズではその存在しか撮れないので望遠レンズを使用して撮影することになります。
最近はデジカメが主流になっていますが、昔のようにフィルムを使用したカメラでも撮ることはできます。
ただしデジカメの便利さや手軽さを考えると、購入するならデジカメを選びましょう。
ただし、デジカメと言っても満足な天体写真を撮ろうとするとそれなりの機能が必要になり、価格も高くなります。
デジカメの便利なところは何度でも撮影の失敗ができ、その場で確認できることです。
一昔前の「フィルム」を使用したカメラだと現像してからでないと撮れているのか失敗しているのかわからないし、失敗すればフィルム代もかかってしまい、経済的にも負担がかかります。
また、天体写真のような光が不十分な被写体を撮影することはいろんな条件で試し撮りする必要があります。
特に絞りやシャッタースピードなどはその時の条件次第で変わってくるため、デジカメのように失敗できる機能はありがたいものです。
デジタルカメラにもコンパクトデジカメから一眼レフデジカメまでたくさんの種類が売られていますが、天体写真を撮るには必要な機能を搭載したカメラであることが条件となります。
そう考えると一般的には綺麗な天体写真を撮ろうとすればコンパクトデジカメよりも一眼レフデジカメが望ましいです。
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アンドロメダ銀河を撮るのに必要なカメラの機能
一眼レフデジカメであれば何でもいいわけではありません。アンドロメダ銀河をはじめとする天体写真を撮るには最低限必要な機能があります。
バルブ機能があること
アンドロメダ銀河を撮るにはシャッタースピードは数十秒~数分間開けっ放しにしなければならないので、バルブ撮影が可能な機種であることが条件です。
またバルブ機能といえどシャッターを押しっぱなしにしなければならず、数分間も指で押し続けていればカメラブレの原因になるのでリモコンが必要になります。
一眼レフデジカメであればオプションで用意されているので購入する時にはセットで考えた方が良いです。
レンズのF値が小さいこと
カメラのレンズには「絞り」と呼ばれる機能がついていて、被写体の明るさに応じて光を撮り込む部分を絞ったりして調整します。これを数値で表したのがF値です。
F値が小さいほど光をたくさんとり込むのでシャッタースピードが短くて済みます。しかし背景がボケやすくなるといったデメリットもあります。
逆にF値が大きいほど取り込む光が少なくなるのでシャッタースピードは遅くなります。しかし全体的にシャープに映るといったメリットがあります。
天体写真のような暗い被写体を撮るにはF値が小さいほどシャッタースピードが短くて済み有利になります。
特にアンドロメダ銀河のような暗い天体は、F値を小さくしてシャッタースピードが長くする必要があります。
したがって、シャッタースピードをできるだけ短くした方が誤差を小さくできるのでレンズのF値は小さい方が有利です。
カメラ本体のISOが高いこと
ISOとはカメラの感度でこの数値が高ければ高いほど光を取り込んでくれるので、天体写真のような暗い被写体を撮りたい時にはISOが高いカメラを選ぶようにします。
一般的にはISOは100が最低で200、400、800と高くなっていき、高級カメラでは100,000を超える機種もあるそうです。
カメラにはISOを段階的に変更することができ、必要に応じて高くしたり低くしたりします。
ただしISOを高くすればするほどノイズが入りやすくなります。
一般写真なら気になりませんが、天体写真のように無数の星が写っている中ではノイズが目につきやすく画像が荒れます。
ノイズはコンパクトデジカメで発生しやすく、コンパクトデジカメならISO400以上、一眼レフでもISO800以上になると出始めると言われています。
天体写真だけでなくどんな写真でもやはり高価なカメラほど綺麗に撮れますが、上を見たらきりがありません。
また昨今のデジタルカメラの技術は日進月歩で次々に機能が高いカメラが発売されていますね。
こうなると買い時が迷ってしまいます。しかしパソコンもそうですが「欲しい時が買い時」といわれるように現時点で気にったカメラを選んでも良いと思います。
よく下調べをしたうえで購入してください。
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天体望遠鏡を使うなら専用アダプターを使ってカメラをセットする
カメラの望遠レンズが無い場合は天体望遠鏡に直接取り付けて撮影する方法があります。これを「直焦点撮影」と呼んでいます。
直焦点撮影は、カメラのレンズを取り外してアダプターを使って天体望遠鏡に取り付けて使用する方法です。
ただし、アンドロメダ銀河は星雲の中でも非常に大きいため、口径が小さな(70mmから100mm)天体望遠鏡だとあまり大きな倍率にすると視野からはみ出してしまうためアンドロメダ銀河の全体像を撮影することはできません。
なので20倍程度の低倍率で十分です。またその方が画像も鮮明になるのでなおさらです。
頑丈な赤道儀に追尾機能が必要
アンドロメダ銀河を望遠レンズ付きカメラだけで撮影したり、天体望遠鏡に取り付けて撮影したりするにも共通して必要になるのが赤道儀架台と追尾機能です。
天体は地球の自転により常に動いているのでカメラを固定したままだと星は線になって写ってしまいます。
これを防止するためには星の動きについて行くしかありません。それが追尾機能です。
また、北極星を中心に回転しているので赤道儀の回転軸を北極星に合わせる必要があります。
一昔前なら追尾機能が付いた赤道儀は高価でしたが、最近ではお値打ちな機種も登場しています。
ただし、中には回転軸がズレ易かったり架台が不安定な粗悪品もあるそうなのでよく検討して購入した方が良さそうです。
また赤道儀ではありませんが、コンピューター制御で星を地球の自転に合わせて追尾してくれる機種も登場しました。
けっこう評判が良いみたいですよ。ただし、長時間露出していると視野が回転してしまうのでアンドロメダ銀河のような星雲の撮影には向いていません。
天体写真を撮るにあたっての注意
天体写真を綺麗に撮るには空気のきれいな暗い場所に行くことが必要になります。そのような場所は多くの人が知っているのでだいたい決まっています。
そうした場所に行く時に守らなければいけないマナーというものがあります。それは懐中電灯の灯りです。暗闇でのカメラや天体望遠鏡のセッティング時には懐中電灯が必要になりますが、そのまま使っていると周辺まで照らしてしまうこともあるでしょう。
そうした時に天体写真を撮影しているとカメラが光を感知して撮影している中に光が入ってしまい一瞬にしてパーになってしまいます。
そのようなことが無いように懐中電灯には必ず赤いセロファンを被せておきましょう。これなら真っ暗やみの中を作業することはないうえに、あたりを照らしてしまうこともないので他人に迷惑をかけることなく安心して作業ができます。
お互い綺麗なアンドロメダ銀河が撮れるように細心の注意をはらいましょう。
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