昨日(11/24)PM3時50分、国産初の商業衛星を搭載したH2Aロケットが打ち上げられ見事に静止衛星に持っていくことに成功しましたね。
H2Aロケットが初の商業衛星打ち上げに挑む意義でも書きましたが、今回成功したことで世界中から注目されることになるでしょう。
また今回の打ち上げ成功が連続28回となり、改めて日本のロケット技術の信頼性が高まったと言えます。
ちなみに成功確率が97.1%だそうで、これは世界最高水準なんだとか。
ただ、ここで気になるのが打ち上げ費用ですよね。
いくら成功確率が世界最高水準といってもバカ高い打ち上げ費用では商業衛星の打ち上げの受注にはつながらないですからね。
そこで今回のH2Aロケットでの打ち上げ費用について調べてみました。
商業衛星の打ち上げを日本が受注できた理由
今回カナダのテレサット社の通信衛星の打ち上げを請け負うことが出来たのは、打ち上げ費用というよりも改良型H2Aロケット29号機の性能によるものだそうです。
というのは、これまでは打ち上げてからすぐに衛星が切り離され、衛星自らが小型ロケットを燃焼させて静止軌道まで飛行しなければならなかったのを、ロケットで一気に静止衛星近くまで持っていけるというのが大きなメリットになって改良型H2Aロケットが選ばれたそうです。
これで衛星の小型ロケット燃料が節約できれば衛星自身の寿命が長くなるからです。
カナダのテレサット社にしてみれば衛星の寿命が長くなれば、打ち上げ費用を差し引いても大きなメリットがあることから日本に打ち上げを依頼してきたと思われます。
ちなみに改良型H2Aロケット29号機は従来機と比較してエンジンの冷却機能を改良したほか、太陽光による燃料の蒸発を抑制する技術が採用され、燃費が向上したことでより静止軌道近くまで衛星を運ぶことが出来るようになったそうです。
H2Aロケットの打ち上げ費用は約百億円
当初今回の打ち上げを日本が受注できたのは日本の打ち上げ成功率や性能、打ち上げ費用が安いからと思っていましたが、どうやら打ち上げ費用だけは安くはないようです。
費用だけに関して言えばアメリカの「スペースX」の打ち上げ費用は日本より2割ほど安いそうです。
「スペースX」はこの安さで商業衛星の受注世界一を誇る「アリアン」に迫る勢いとか。
これでは打ち上げ費用だけみたら日本に勝ち目はないですよね。
そう考えれば日本としては打ち上げ価格をいかに下げるかが今後の課題になっているようで、それを一気に先頭に立てるかもしれないのがH2Aロケットの後継機です。
H2Aロケットの後継機は打ち上げ費用が五十億円
2020年の実用化を目指してH2Aロケットの後継機として開発中のH3ロケットは、性能がH2Aロケットの1.5倍、打ち上げ費用は半額の五十億円と画期的なロケットに仕上がる予定となっています。
これで、今回の改良型H2Aロケット29号機の打ち上げ成功を見せつけたことと合わせて商業衛星の受注も激化するかもしれませんね。
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日本は敗戦によりロケットの開発は禁止されていた
ロケットはドイツが開発した「V2ロケット」をはじめ、アメリカや旧ソ連を中心にロケット開発が始まりましたが、日本はというと第二次世界大戦敗戦後、航空宇宙開発研究が禁止されていたそうで、禁止が解除されたのは1951年、サンフランシスコ講和条約の締結によって日本が独立することでようやく研究開発が再開されたそうです。
したがって、ロケット開発においては日本は世界から大きく後れをとった形になっていたのです。
「ロケットの父」と言われている糸川英夫氏が初めてペンシルロケットで実験に成功したのは有名な話ですよね。
そこから現在まで紆余曲折があったようですが、ようやく世界と肩を並べることが出来るまで性能をアップできたのは日本人の器用さと勤勉さが貢献したのでしょう。
おりしも先ごろ国産初のジェット旅客機MRJの飛行試験に成功し、今後の幾つもの試験に合格できれば世界中からの受注が期待できるそうです。
H2Aロケットの部品点数はMRJとほぼ同じ百万点にもなるといいます。
今回の打ち上げ成功は経済界にも大きな期待を抱かせるものとなったようです。
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