隕石が大気圏に突入する時や、宇宙船が地球に帰還する場合、大気圏に突入する時必ず高温になって真っ赤に光りますよね。
あれは空気との摩擦で熱を発していると多くの方は認識していますが、以前から不思議に思われていることがあります。
それは大気圏に突入する時に高温になるんだったら、逆に大気圏を脱出する時にも高温になるのでは?ってことです。
しかしテレビ中継で見ている限りではロケットが真っ赤になって飛んでいく姿は見たことがありません。
実際に大気圏から脱出する時に高温になるなんて聞いたことが無いし・・・
これはいったい何故でしょうか?
空気との摩擦で高温になるわけではない
まずどうして大気圏に突入すると空気との摩擦で高温になるのか?その理由から解説します。
多くの人が空気との摩擦と認識しているようですが、厳密に言うと摩擦ではなくて「断熱圧縮」による現象なのです。
断熱圧縮とは空気が圧縮されると熱を持つ現象ですが、これは圧力が高くなると空気中の分子がお互いに激しく衝突して熱が発生するからです。
冷蔵庫やエアコンなどは断熱圧縮を応用した家電品として知られています。
そこで疑問に思うことがあります。
それだったら大気圏から脱出するときだって断熱圧縮で高温にならなければおかしいですよね?
ジェット戦闘機だって物凄いスピードで飛んでいるわけですから。
先端が高温になっているなんて聞いたことないですよね。
これはいったい何故でしょう?
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大気圏に突入する時の速度が速いから
ロケットが大気圏を脱出する時の速度は最も早い時でも秒速3.1km、一方、大気圏に突入する時の速度は秒速10km以上と言われています。
これを比較してみれば一目瞭然ですよね。
早い話、大気圏に突入する方が速度が速いからです。また大気圏に突入する時に減速する目的があるためわざと抵抗を高くするために体制を整えています。
スペースシャトルがそれです。
空気抵抗が大きければ大きいほど「断熱圧縮」が起きやすく高温になるのです。
スペースシャトルは底面を進行方向に向けて大気圏に突入する
今から45年ほど前外国のテレビドラマ「謎の円盤UFO」の中でスペースシャトルのような宇宙船が大気圏突入のシーンでは宇宙船の先端が高温になっていくような姿だったと記憶しています。
そのシーンを見て以来、私は大気圏に突入する時は先端から突入するもんだと思い込んでいました。
ところがスペ-スシャトルの大気圏突入のイメージCGではお腹を進行方向に向けているではありませんか!
これには「えっ?お腹を向けるの?」て思いましたね。
そう言えばスペースシャトルの底面だけは日本製の陶磁器で出来たタイルが一面に貼られてるところをテレビでやってましたからね。
ではなぜスペースシャトルは大気圏突入の時にそのような体制なのでしょうか?
それは空気抵抗を利用して減速できるからです。さすがに秒速10km以上のスピードで滑走路を降りるわけにはいきませんからね。
十分に減速することが必要なのです。
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スペースシャトルにはジェットエンジンが付いていない
スペースシャトルは大気圏に再突入した後どうやって地上に着陸しているか知っていますか。
普通に飛行機のようにジェットエンジンを使って滑走路まで飛んで行き着陸していると思っている方が多いと思いますが、実はスペースシャトルにはロケットエンジンはついていてもジェットエンジンはついていないんですよ。
なので自力で滑走路まで飛んで行くことは出来ないんです。
ではどうやって滑走路まで飛んでくるのかと言うと、グライダーのように尾翼に風を受けとめながら惰性で滑走路までたどり着くのです。
しかもブレーキが付いていないのでパラシュートで減速するといった原始的な方法を採用しています。
大気圏突入の際逆噴射すれば高温にならないのでは
大気圏突入の時には秒速10kmという物凄いスピードだから「断熱圧縮」の現象が起こるのなら、逆噴射すれば防げて安全に帰還できるのではと思いますよね。
確かにその通り逆噴射してゆっくりと大気圏に突入すれば高温になることはありません。
しかしそれにはかなりの量の燃料が必要になります。その燃料を積むことで発射時の燃料も増やさなければなりません。
さらにタンクやロケットエンジンも追加しなければならず、さらに重量が増します。
聞くところによるとそのような設計にするとスペースシャトルを含むロケット全体の重さは10倍ほどになるとのこと。
これでは予算もさることながら危険性も増すわけで現実的ではないとされているそうです。
もっと安全に帰還できる方法があればいいのですが、今のところは高温に耐えるしかないようです。
画期的な逆噴射方法が見つかると良いですね。