季節が秋から冬に移り変わり、空から降ってくるのも雨から雪に変わるつつある12月。
最近は地球温暖化もあってか、雪に変わるのも遅れつつある様な感があります。
さて雪が降る条件というのをご存知ですか?
気象庁によれば地上の気温が3℃くらいが雨と雪の境目とされています。
しかし、こうした指標は南海上の低気圧が通過するときだけです。
西高東低の冬型になると、上空の気温が伝えられるだけで地上の気温について解説されることはありません。
何故でしょう?
ということで調べてみました。
西高東低の冬型には6℃でも雪になることがある
私は名古屋に住んでいますが、雪になる条件というのは殆どが西高東低の冬型気圧配置です。
時折南岸低気圧によって雪になることがありますが、上空に寒気が残り地上の気温が低い場合に限ります。
その気温というのがおおよそ3℃前後です。
ところが冬型の気圧配置になって寒気が流れ込んだ場合には気温が高くても雪が降ることがあります。
その気温というのが5℃~6℃です。
5℃~6℃だと南岸低気圧であれば間違いなく雨でしょう。
どうしてこのような不思議な現象が起こるのでしょうか?
それは湿度が関係しています。
どちらも上空では雪の状態
冬型の気圧配置による降雪も、南岸低気圧による降雨も上空では同じ雪の結晶の状態になっており、地上に降り注ぐ途中の環境で雪のままだったり雨になったりします。
同じ雪が雨に変わるのは空気中の湿度が大きく関わっており、湿度が高ければ高いほど雨になる可能性が高くなります。
何故湿度が高いと雨になるのか・・・
それは「昇華熱」によるものです。
昇華熱とは固体から気体に気化する時に奪われる熱のことをいいますが、雪は固体ですから気体に気化することを昇華と呼んでいます。その昇華に深く関わっているのが空気中の湿度なのです。
気温が7℃でも雪になるのは湿度が低い、つまり周辺の空気が乾燥しているからです。
逆に湿度が高くなると昇華し難くなる分、雪自体の温度も下がり難くなるため溶け易くなります。
気温が2度でも雨になることがあるのは、湿度が高く熱が奪われること無く周囲の温度に近づくために溶け易くなるためです。
雪と雨の境目が、温度と湿度の関係性をグラフにしたものがあります。
出典:日本気象学会
このグラフを見ると地上の気温が7℃でも湿度が30%台であれば雪になる可能性もあるということになります。
逆に地上の気温が1℃でも湿度が90%だと雨になる可能性があるということになります。
雪の性質によっても変わってくる
「雪の結晶は上空からの手紙」といわれるように、実に様々な形の結晶が観られます。
綺麗な六角形の結晶もあれば筒状の結晶や板状の結晶もありますよね。
これは結晶の形成時の湿度と温度によって決まるとされています。
その相関関係図がこちら
この図を見ると温度よりも湿度により雪の結晶が複雑になっていることがわかります。
冒頭に載せてある美しい結晶の姿は湿度が高い環境で形成されるんですね。
こうして上空で造られる雪の結晶は水分を多く含む結晶と水分量の少ない結晶になるわけですから、地上に降り注ぐ途中で溶け易いのは水分量の多い結晶を含んだ雪ということになります。
このように上空で形成された雪の結晶の水分量と、地上に降り注ぐまでの環境が複雑に絡み合って雪と雨に分かれることになります。
まとめ
雨と雪の境目は温度だけでなく、湿度が大きく関わっています。
雪が溶けずにそのまま降ってくるのか、雨になって降ってくるのかは、雪が気化するときの昇華熱によって変わってくることがお分かりいただけたと思います。
これから季節は冬が深まり雪が降る機会も増えてくるものと思われます。
そんなときに雨と雪の境目の温度を頭の片隅にでもとどめておいていただき、しばらく眺めていると違った雪に見えてくるかもしれませんよ。