2019年9月25日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」が種子島の宇宙センターから打ち上げられましたね。
ちょっと前に打ち上げ台から火災が発生したことで打ち上げが延期されていましたが、今回無事に打ち上げに成功したとのことでひとまずほっとしているところでしょう。
それにしてもこの「こうのとり」と呼ばれる宇宙ステーション補給機ってどんな役目をしているのかご存知ですか?
今回は宇宙ステーション補給機の役目についてご紹介します。
宇宙ステーション補給機「こうのとり」の輸送能力は世界一!
世界で運用されている宇宙ステーション補給機は日米露で計4種類ありますが、その中でもこうのとりは輸送能力で最も大きい6トン。
直径は約4.4m、全長9.8m弱と、観光バスが納まるくらいの大きさを誇るのだとか。
この補給機「こうのとり」を作っているのが三菱電機。
三菱電機は、人工衛星や地上管制設備、大型望遠鏡といった幅広い宇宙事業を展開していますが、宇宙ステーション補給機も作っていたんですね。
宇宙ステーション補給機は生命線
宇宙ステーションの目的は、地上とは異なる環境で長期にわたって様々な実験を行うことですが、そのために必要な各種実験装置を届ける必要があります。
また宇宙ステーションには数人の飛行士が滞在していますから、定期的に食料や衣類などの物資を運ぶ必要があります。
現在宇宙ステーションへ物資を届ける手段はロケットで打ち上げるしか選択肢がないので、もし打ち上げに失敗すれば宇宙飛行士の食料も届かない事態になります。
宇宙食は保存が利くようになっているので常に備蓄はしているようですが、それでも2~3か月分の備蓄しかないようで、もし2回連続で打ち上げに失敗すれば宇宙飛行士の生命に関わる事態になるといいます。
現在宇宙ステーションへの補給機は日米露の計4機種が運用されていますが、2014年の10月にアメリカの「シグナス」、2015年の6月に「ドラゴン」と相次いで打ち上げに失敗しており、ヒヤリとした事がありました。
またロシアの「プログレス」は2015年4月に打ち上げには成功したものの、通信障害や姿勢異常などが発生し、宇宙ステーションへのドッキングを断念した経緯があります。
宇宙ステーション補給機「こうのとり」は失敗がゼロ
米露の補給機が相次ぐ輸送の失敗の中、一度も失敗したことがないのが「こうのとり」です。
そのため「こうのとり」は国際的に非常に評価が高く、ここにも日本の技術力の高さが証明された形になります。
現在「こうのとり」は8号機が運用されていますが、現行型は9号機で終了とのことで、令和3年に改良型の補給機がデビューする予定だそうです。
製造コストを半分にして輸送能力を2倍に増やす予定だそうで、益々日本製が注目を浴びることになりそうです。
動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻
改良型こうのとりを月周回基地で活用?
現在こうのとりは8号機を運用しており、2019年9月25日に打ち上げ、無事宇宙ステーションに物資を輸送することが出来そうです。
直前に発射台から出火して打ち上げが延長されるというトラブルはあったものの、輸送に失敗して補給機に積まれていた物資がパーになることは一度もなく、ほぼ完璧な運用というところでしょう。
これまで失敗がゼロで優れた輸送能力がさらに強化されるということで、日本が提案したとされる月周回基地での活用について改良型こうのとりをNASAは前向きに検討しているようで、日本の貢献度は益々高くなります。
宇宙ステーションに物資を届けて、帰りは大気中で焼却
物資を届けた後の宇宙ステーション補給機、ステーション内の消耗品や使用済みの衣類などを詰め込んで地球に戻します。
戻すといっても大気圏に再突入させるので、断熱圧縮により全てが燃やされて灰になってしまいます。
詳しい解説はこちら:大気圏に突入すると高温になる理由は?
正に天然の焼却炉ってとこですね。
そこで気になるのが飛行士たちの排泄物です。
排泄物といっても尿に限っては飲料水にするために尿処理装置を通します。
では残りの排泄物であるうんこはどうするのかというと、「こうのとり」に詰め込んで大気圏に再突入させ焼却させます。
私たちが生活している上空でうんこが焼却されていると聞くと何となく複雑ですね・・・
こうのとりの大気圏再突入が肉眼で観える
最大6トンもの使用済みの物資を大気圏に再突入させるのですから肉眼でも確認できます。
ただし毎回日本の上空で大気圏再突入が行われるとは限らないため事前に確認しておく必要があります。
それが「宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター」です。
ちなみに前回の「こうのとり」7号機については「宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機(HTV7)の再突入ルートおよび日時について」で公開されました。
現在宇宙ステーションへドッキングに向けて運用中なので、近いうちに大気圏再突入の位置と日時が公開されると思います。
きっと明るく美しい流れ星が観えると思いますよ。