先ごろ線虫が人の尿から癌を発見できると九州大学の研究グループが発表しましたね。
いったい線虫がどのような過程を経て癌を発見できるのかというと、そもそも癌というのは独特なニオイがすることで知られていますが、線虫がその癌のニオイが大好きだそうです。
癌のニオイを嗅いで癌を発見できると言われている「がん探知犬」は以前から良く知られていますが、線虫にも同じ能力があったんですね。
この現象がどのように発見されたのかというと、ある時、生の魚介類を食べて激しい腹痛に襲われて病院に運び込まれた急患を内視鏡で検査したところ胃壁にできた未発見の癌細胞に集まっていたんだそうです。
そこに目を付けた九州大学の研究グループが、24人の癌患者と218人の健常者の尿を一滴採取して実験したところ、癌患者の尿に線虫が近づいて行き、健常者の尿は逆に遠ざかっていったんだそうです。
その確率は何と95.8%の高確率で判別できたんだそうです。
ちなみに現在血液を採取して癌を発見できるとされている「腫瘍マーカー」を同じ患者を検査したところ判別率が16.2~25%だったとのこと。
線虫による尿検査は一回100円だが実用化は10年後?
しかもこの線虫による尿検査が確立されれば一回の検査料がたったの100円でできるとのことで、これはもう「腫瘍マーカー」よりも線虫様にお願いした方が良いですよね。
100円でできると言うことは家庭用のキットでできると言うことでしょうから、これまでの定期検診で行われている辛い内視鏡検査が必要なくなるので内視鏡大嫌いな私みたいな人にとってはありがたい発見です。
こうした実験結果から今後の癌の早期発見が期待されているそうで、健康不安のある人にとっては朗報ですね♪
ただ、問題なのは、この検査の実用化は10年後になるんだそうです。
10年後って・・・
どうしてこんな簡単な検査ができるようになるまで10年もかかるのでしょうか?
やっぱり厚生労働省のお役人が簡単には認めないんでしょうか?
とにかく早くしてくださいね。
線虫には数種類ある
線虫は体長1ミリ程度の細長い動物ですが、中には1メートルに達する種類もあるそうで、現在発見されている線虫は二万種類あるそうです。
深海数千メートルの海底から高山まで地球のあらゆる場所に生息していて、もちろん土壌にも生息していて農作物に被害が出ることもあるそうです。
よく生のイカを食べた時に腹痛を起こすことがありますが、激痛に耐えられず病院に運び込まれる人もいるとか。
通常、線虫は簡単に死んでしまうので、加熱したり切れ目を入れたりすれば被害に合うことはないそうです。
よく生のイカには包丁で何本もの切れ目が入っていますが、これは線虫を殺すためにしていると言われています。
コレくらい線虫は私たちの身近な生き物なんです。
今回実験で使われていたのは、「C・エレガンス」と呼ばれている線虫で、非常にシンプルで扱いやすい種類なんだそうです。
C・エレガンス線虫は宇宙でも貢献している
線虫は癌を発見できるだけではありませんよ。実は国際宇宙ステーションでも実験で利用されているんです。
どんな実験をしているのかというと、線虫が微小重力下でC・エレガンス線虫の筋繊維変化を観察しているんだそうです。
宇宙飛行士が長期間宇宙に滞在すると筋力が低下するだけでなく骨がもろくなってしまうことが報告されています。
これが要因となり「骨粗しょう症」や「尿路結石」になることがあると言います。
こうしたリスクが宇宙空間に滞在していると大きくなっていくんだそうです。
そんな無重力状態で生じる筋肉の委縮のメカニズムをこのC・エレガンス線虫で解明しようとしているんだそうです。
すでにC・エレガンス線虫のDNAは全て解読が完了しているそうで、後はどのような経緯を辿っていくかを観察していくんでしょうね。
地球上で病気や老化のために制限される生活者を救う
今後C・エレガンス線虫を国際宇宙ステーションで培養して、無重力で育つ場合と、遠心分離機で1Gの重力をかけてどのように成長して変化していくのかを調べることになっているようです。
この実験により宇宙飛行士の健康問題をはじめ地球上で病気や老化で苦しんでいる人を救うことになるんだそうです。
現在、筋肉や骨の難病で苦しんでいる人が多くいます。
このような人を線虫を利用して救うことができれば医学会に大きく貢献できることになるでしょう。
関連リンク:国際宇宙ステーションでの生活で不思議に思うこと