先ごろ菓子メーカーの「UHA味覚糖」が「Candy Rocket Project」なるこれまでにないロケットエンジンをつかったプロジェクトを発表しました。
お菓子メーカーがロケット?と不思議に思いましたが、発表内容をよく読んでみると、どうやら自社で作っているソフトキャンディーの「ぷっちょ」を推進剤にするというものです。
「ぷっちょ」といえば私も何度か食べたことがありますが、今までの硬いイメージとは違い、歯触りが柔らかく飴が嫌いな私でも美味しく食べられるお気に入りのお菓子です。
これがロケットの燃料になるというのですから、本当世の中何ができるのか判りませんね~
固定燃料と液体燃料を使用するハイブリッドロケット
これまでロケットエンジンといえば黒色火薬などの固体燃料や、液体酸素と液体水素を配合して燃焼させるエンジンが主な推進力元で、通常は後者の液体酸素と液体水素を使ったロケットエンジンでした。
この推進力システム使用したロケットは、固定燃料と液体燃料を使用する“ハイブリッドロケット”と呼んでいるようです。
まったく別の燃料を使ってロケットエンジンを開発しようというのですから、もし成功すれば宇宙輸送用としては画期的なロケットエンジンになるのではと注目されています。
しかし、燃やして推進力を得るのは従来と同じなわけですから、問題はやはり安全性とコストでしょうね。
UHA味覚糖によれば、安全面、環境面、コストや性能などに優れているとしていますが、詳細はまだ発表されていないようで、今後の動向が注目されています。
2015年3月7日に行われた実験だったようですが、見事大成功みたいだったようですね。
この動画で使われている高さ1.8メートル、重さ10キロのロケットにはキャンディの「ぷっちょ」がたったの20粒しか使われていないとのこと。
300メートルほど上昇したそうですが、この推進力が20粒の「ぷっちょ」と酸化剤しか使われていないのが驚きです。
また驚いたのが、携わっている社員?の方が大真面目に議論を重ねながらロケット開発に取り組んでいる姿です。
おもちゃではない本格的なロケット
私はこのプロジェクトを始めて知った時に、「どうせペットボトルロケットのレベルだろう」と思い込んでいました。
ペットボトルを利用してロケットが作れるキットなんかはホームセンターでもよく売られていますよね。
また実際に火薬を燃焼させて飛ばせる「モデルロケット」も通販で購入できます。これは学校の教材にもなる優れモノのようです。
なので、この類のロケットと思っていたんです。
ところが、実際に動画を見たら本当にノズルから火を吹いて飛んでいくではありませんか!
私が想像していたものとはまったく違うロケットの姿に驚いたとともに感動さえ覚えました。
ちなみに私は子供のころ黒色火薬を使ったロケットを作って遊んでしました。
詳しくは「歴代のロケットの大きさから思うこと。」をご覧ください
食料が緊急脱出用の燃料に
アイデアというのはどんどん膨らんでいくもので、宇宙食が緊急脱出用の燃料になるのではと考えられているようです。
このアイデアを読んで、ああなるほどなあ~と感じたと同時にある映画の1シーンを思い出しました。
「バックトゥーザフューチャー」でタイムマシンとして使用していた車「デロリアン」の燃料補給として生ゴミを詰め込んでいたシーンがありましたね。
当初SF映画としてくらいにしか見ていなかったために「さすがにこれは無理だろう」と感じていたのが、今回のプロジェクトを知ったら「いけるかもしれない」と感じたんです。
生ゴミがでエンジンが動けば環境にも良いですしね♪
科学の面白さを知ってもらう
今の子供たちは理数系が苦手と聞きます。
これは文系の方が社会人になって安定して生活できる傾向があるそうで、好きとか嫌いではなく大人になってお金が稼げるジャンルに傾いている子供たちが多いと聞きます。
これは資源の乏しい日本にとって非常に危機感をもたなければいけないことで、モノ造りが得意な日本には近い将来不安に感じてしまいます。
開発スタッフは今回の実験で、身の回りにある材料でちょっと工夫するだけでロケットを飛ばせることができることを知ってもらうだけで意義のあることといいます。
動画を見てもらえば判りますが、当日の実験には多くの子供たちの姿が映っています。皆、興味深くロケットの打ち上げを見ていましたね。
この実験を機会に理数系大好きな子供たちが増えると良いですね。
発明は最初はバカバカしいもの
これまで数々の発明品が世に出されていますが、発明家に言わせると、1000個作って物になるのは1~2個くらいだと言います。
他の発明品は普通の人が観たら笑ってしまうものばかりなんだそうで、それくらい考え付いたものをたくさん作るんだそうです。
しかし最初はバカバカしいと思われていた発明も改良していくうちに物になっていくこともあると言います。
ひょっとしたらキャンディーを使用した「ハイブリッドロケット」も、将来のメインロケットエンジンになるかもしれませんよ。
気になるのはやはり、ハイブリッドロケットの安全性とコストですよね。