国立天文台によると、2014年10月下旬に太陽に大きな黒点が出現し、自転によって移動している姿が公表されましたね。
さらにその黒点は11月中旬になって再び姿を現したとのことです。
この黒点は地球が66個も入るくらいの大きさだそうで、このくらいの規模の黒点が現れたのは1990年以来24ぶりのことだそうです。
ここのところ太陽の黒点出現が低迷していて、その影響による寒冷化が叫ばれていましたが、今回の大規模な黒点の出現は何を意味しているのでしょうか?
今後地球上でどのような現象が起こりうるのか調べてみました。
大規模黒点による地球への影響
「太陽黒点活動が温暖化に関わっている?」で解説している通り、太陽の黒点は強い磁場の影響で周囲より温度が低くなるために黒く見えるだけで、実際には4000度の熱を発しています。
黒点の数は周期的に増えたり減ったりしていて、その周期は11年とされています。
2008年ころから黒点の極大気に入っているとも言われていましたが、予想に反してここ数年は減衰しているとのこと。
それまで多くの科学者が経験したこともないような状況だそうで、100年前の状況に似ているといわれているのです。
そんな太陽の黒点の出現が減っていた中で、今回の大黒点の出現が異様さを感じさせますが、聞くところによると、こうした事例はたまにはあるそうなんです。
それくらい太陽の活動は“気まぐれ”と言うことなんでしょうね。
地球への影響が最も大きいとされるのは、その黒点付近で起こっているの「太陽フレア」です。
太陽フレアの発生メカニズムはまだはっきりとは解明されていませんが、傾向としては黒点が大きいほどその規模も大きくなるとされています。
今回の大きな黒点は規模の大きな太陽フレアに発展する可能性があると言うことです。
スポンサーリンク
太陽フレアによる地球への影響
過去に大規模な太陽フレアにより引き起こされた被害としては、磁気嵐によりカナダのケベック州で9時間もの大規模停電が起きたとされ、600万人もの人が被害を受けたそうです。
他に懸念されているのは宇宙飛行士や飛行機の乗務員への健康被害や、間接的な影響として人の精神錯乱による社会的な混乱や、暴動、戦争など、太陽フレアによる地球への影響は計り知れないとされているようです。
ただ黒点が大きいとか数が多いとかだけで太陽フレアの規模が決まるものではないうえに、仮に大規模な太陽フレアが起きたとしても地球にどのくらい影響を影響があるかは判らないとされています。
したがって今回の大規模黒点が地球にもたらす影響は予測不能としか言えないそうで、念のため警戒しておくことが必要とのこと。
太陽フレアの規模はX線の強さで等級が決まる
太陽フレアは高さが数万キロメートルと物凄い高さにまで達し、先端は円を描いて別の場所に吸い込まれていきます。
ドーム状になったフレアーのトンネルには地球が余裕で入るくらいの大きさだとか。
またフレアーのエネルギーは水爆10万~1億個と同等であるとされ、その規模の大きさがうかがわれます。
そんな大きな規模の太陽フレアーにも等級で分けられていいます。
それはX線の強さにより等級付けされていて、太陽フレアーの規模の指標とされています。
と言うのは、太陽フレアが発生すると多くのX線やガンマ線、そして荷電粒子が発生するからで、理由は判りませんがX線の強さで決められたのです。
X線が強いものから
X
M
C
B
A
となっていて、各等級は10倍の差があるそうです。
そして各等級も1~10の数字で区分され、それぞれの強度であることを示しています。
ちなみにカナダの大停電時での太陽フレアの等級はX13の最強クラスの等級だったそうです。
過去最大ではGOES衛星でX28を記録したとか。
スポンサーリンク
磁気嵐が停電を起こすメカニズム
カナダで磁気嵐が大停電を起こした事件は有名ですが、そのメカニズムはどのようなものでしょうか?
カナダではオーロラが見えることで有名ですが、その代わり磁気嵐の影響も受けやすいのです。
逆に、磁気嵐の影響を受けやすいからオーロラが出現しやすいと言えます。
磁気嵐は太陽風に含まれるプラズマ粒子が原因です。
当ブログの記事「オーロラがきれいに見られる条件 いつどこがベスト?」でも書いていますが、太陽からの「プラズマ粒子」は地球の磁場により南極や北極に集まりやすいことは知られています。
カナダがプラズマ粒子の影響を受けたのは北極に近いからです。
プラズマ粒子は金属に誘導電流現象を引き起こしますから、送電線に限界を超える電流が流れて焼きついたり、ブレーカーが落ちたりしてしまうのです。
判りやすい例ではどこの家庭にもある電子レンジに金属が蒸着されている皿を使用するとパチパチと火花が散りますが、こういった現象と同じです。
変電所から長い送電線が何本もありますが、送電線が長いだけにプラズマ粒子の影響を受けやすいのです。
太陽フレアは監視はしているが具体的な対策は無い
地球に影響して大きな損失を出す太陽フレアですから、何らかの対策は必要です。
実はこうしたことを事前に察知して被害を最小限に抑えるべく対策は採られているのです。
それが「宇宙天気予報」です。
「宇宙天気予報」とは宇宙天気情報センターで太陽面の黒点をリアルタイムで監視し、電磁波の発生や地球に到達する時間などを観察して情報を公開しています。
また、NASAの探査機ASEでは太陽風の常時監視をしていて太陽風が地球に届く1時間前に感知することができるそうです。
しかしこうしたシステムも監視するだけで、大停電などを予防することには至ってないとのこと。
今のところ地震や雷などと同様、大自然には勝てないと言うことだそうです。
相手が太陽だとなおさらですね。