太陽系をイメージしたイラスト

恒星の周りを公転しているのが惑星で、惑星の周りを公転しているのが衛星というのはよく知られていることですが、衛星の周りを公転している「孫衛星」について知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。

現在人工的に孫衛星として月の周りや各惑星の衛星を周回している探査機がそれに相当することになりますが、天然に存在する孫衛星は発見されていません。

月より小さな冥王星には5個の衛星があることが判っていますが、月にはありませんよね。

木星にも土星にも月より大きな衛星が存在します。

それでも孫衛星は存在しません。

これって不思議だと思いませんか?

それとも、実際にはあるのに小さすぎて発見されていないだけなのか・・・

そこら辺が気になったので詳しく調べてみました。

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各惑星の衛星と大きさを比較してみました

衛星の大きさから考えるのならとりあえずは大きさを比較してみることから始めましょう。

ということで一覧表にしてみました。ただし、全ては書ききれないので大きい衛星だけ掲載しますね。

惑星名 衛星名 直径(Km) 惑星からの距離(Km)
地球 3,474 384,400
木星 イオ 3,643 421,700
木星 エウロパ 3,122 671,034
木星 ガニメデ 5,262 1,070,412
木星 カリスト 4,821 1,882,709
土星 タイタン 2,576 1,221,850
海王星 トリトン 2,707 354,800
冥王星 カロン 1,212 19,571

いかがでしょうか。

冥王星(直径2,304km)の衛星を覗いてほとんどが直径3,000km以上ありますよね。

太陽系にはこんなに大きな衛星が存在しているのです。
それなのに孫衛星は存在していません。

1つぐらいあっても良いと思うのですが・・・

 

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孫衛星の捕獲は力学的に可能性は小さい

隕石

孫衛星ができるには火星の衛星のように「捕獲説」でないとできないとされています。

火星の衛星は2つあってどちらも10~20kmととても小さなもので、コレくらいの大きさでないと難しいと思われます。

それが上の一覧表のように直径が3,000~5,000と小さい衛星に孫衛星を持つとなると引力が弱過ぎて捕獲が難しいとされています。

力学的には可能かもしれませんがきわめて小さいとされているようです。
しかし、小さいからとの理由で孫衛星を捕獲することができないとは言えません。

なぜなら直径が数百キロの「小惑星」でも衛星を持っていることが確認されているからです。

つまり衛星の大きさはさほど問題ではないと考えられます。
となると他の何かが作用していると考えられます。

 

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孫衛星は惑星と衛星の引力により軌道が変化する

公式に発表されたものではありませんが、孫惑星は惑星と衛星の位置関係から双方の引力によりしだいに軌道が歪んでしまい、やがて惑星に吸い込まれるかどこかに飛ばされてしまう運命にあるとのこと。

判り易い例としては、日本が打ち上げた月観測機の「かぐや」は月の周回軌道で観測していましたが、観測終了後にわざと決まった地点に落下させたそうです。

何故このような措置が採られたかというと、地球と月の引力によりコントロールが効かなくなり何処に落下するのか判らなくなる恐れがあったからだそうです。

そう言えば「月は自転しているのか?」でも解説しているように、地球と月には「潮汐力」と呼ばれる互いの引力で微調整して月の表だけが地球側に見せているとされています。

「潮汐力」は他の惑星と衛星の間でも作用していて多くの衛星が惑星に対していつも同じ面を見せているとされています。

それくらい惑星と衛星間のお互いの引力は大きなものなんですね。
こうした引力が孫衛星が存在できない要因になっているのでしょう。

また各惑星の衛星が太陽との惑星の引力があっても存在できているのは、太陽からの引力が少ない距離があるからなんでしょう。

水星金星に衛星が無いことからもこの考え方が有力になっているようです。

したがって太陽系に孫衛星が存在しないのは、惑星と衛星の位置関係と引力が複雑に絡み合っているのではないかといった考え方です。

あくまで考え方なのでひょっとしたら条件的に存在できる場合もあるかもしれません。仮に存在できるとしたら太陽からかなり遠い軌道を採っている惑星の衛星ならあるかもしれません。

それだけ太陽からの引力の影響をあまり受けないことが条件ということです。

いずれにしても、孫衛星が存在してもかなり小さなものになるそうで、地上からの観測では小さすぎて無理とのこと。

ということは今後探査機によって「孫衛星」がどこかの惑星の衛星に見つかるかもしれませんね。