探索機「ロゼッタ」が2014年11月13日、世界で初めて彗星に着陸したとの報道がありました。
その彗星とは「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」で15年8月に太陽に最接近するとのことで、11/13現在は火星と木星の間にあり、地球からの距離は5億キロだそうです。
この彗星の形状は大小丸い形をした2つのものがくっついている「雪だるま」のような形をしていて、長手方向で約4Kmとのこと。
またこの彗星は太陽の周りを6年半かけて周回していて、2015年3月に太陽に最接近するとのことで「ロゼッタ」も彗星の上空にとどまり観測を続けるそうです。
ということは「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」として尾が間近で見られるということですね。
これも人類初の経験ですからその時は全世界が注目することになるでしょう。
「ESA」は過去にハレー彗星成功した実績
今回ロゼッタ計画の「ESA」という組織はあのハレー彗星の核のすぐ近くに迫って観測に成功した「ジオット」の実績があることでも知られています。
そう言えば何年前だったか忘れてしまいましたが、テレビ番組の「ニュースステーション」でもリアルタイムで放送していたましたね。
ただ映像がアニメみたいで本当にハレー彗星の核なのか疑ってしまったことを覚えています。
とはいえ、そうした実績があるので今回の人類初の彗星着陸は益々今後の観測成果が期待できますね。
今回は無人探索機「ロゼッタ」から着陸機「フィラエ」を彗星に着陸させて作業を続けていくそうです。
この彗星は、重力が地球の10万分の1しかないそうで、着陸の衝撃で跳ね返されてしまわないように「イカリ」で固定するそうです。
それにしても地球の10万分の1の重力ということは、地球上で1メートルジャンプ出来る人がこの彗星でジャンプすると10万メートルジャンプできるということですから考えるだけで恐ろしいものがありますね(*^_^*)
ほとんど重力が無いと言った方がいいかもしれません。
ロゼッタによると彗星から噴き出している尾の成分が分析出来たようです。
その成分とは
アンモニア
硫化水素
ホルムアルデヒド
シアン化水素
メチルアルコール
これらの成分を見てみると何だか臭そうなイメージがありますが、専門家によるとやはり「この彗星のニオイをかぐと後悔するだろう」と発言しているようです。
他の彗星も臭いんでしょうか?時には夜空に美しい姿を見せてくれる彗星だけに、尾が臭いだなんてイメージダウンですよね。
今後は彗星の表面にドリルで穴をあけて内部の組織を調べるとのことですが、これで地球の海が彗星からもたらされたという説が裏付けられると期待されています。
内蔵されている電池が2~3日くらいしか働かないそうで、その間に集中して初期の科学観測をするそうです。
そこで分析が始まり上空の「ロゼッタ」を経由してデータを地球に送信するんだそうで、条件さえよければ2015年の3月まで続けることができるとのこと。
着陸機のフィラエが着陸に成功したものの、その後電池切れ
報道によると着陸機のフィラエが着陸した場所が太陽の光が届きにくい場所だったためソーラーパネルに太陽光が十分にあたらず蓄電出来ないとのことで、しばらくお休みするそうです。
ただ報道を読んでいると深刻な事態には無いようで、蓄電出来次第再稼働は出来るみたいですよ。
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ロゼッタ報道での疑問
私は40年ほど前に「ウェスト彗星」が明け方の東の空に長い尾を引いた姿に感動してからもう一度大彗星の姿を見たくて期待していたのですが、残念ながらこれまで見たことがありません。
なので、彗星には非常に興味を持っていていろんな情報を目にしてきました。
しかし今回の無人探索機「ロゼッタ」の報道を見てからいろんなことを考えているうちに様々な疑問が浮上してきたんです。
彗星に関してはけっこう知っていたつもりでしたが、初めて聞く言葉も出てきて自分の無知が恥ずかしくなってきました(^^ゞ
そこで今回の報道に関していろいろ調べていくうちに面白いことに気がついたのでご紹介したいと思います。
はやぶさ2がサンプルを持ち帰るのとどんな差があるの?
今回のロゼッタで彗星にフィラエを着陸させたまま成分を観測、分析するとされていますが、これで満足な分析ができるのでしょうか?
と言うのは、我が国で人類初の小惑星のサンプルを持ち帰った「はやぶさ」なんですが、近々「はやぶさ2」が他の小惑星のサンプルを持ち帰ろうとしています。
もし今回の彗星に着陸して観測分析出来るのであれば「はやぶさ2」のサンプルを持ち帰るとする“意義”が問われてしまいますよね?
これはいったいどうしてなんだろうと、いろいろと調べてみたらやっとわかりました。
早い話が「予算不足」だったそうです。
いろんな試練を乗り越えてきたロゼッタですが最終的に今のような計画になったみたいで、本来は他の彗星に着陸してサンプルを持ち帰る計画だったそうです。
こうした事実を考えれば「はやぶさ」「はやぶさ2」と小惑星のサンプルを地球に持ち帰る計画に予算が出たということ自体が凄いことだったんですね。
それだけ期待されているってことでもあるのですが・・・
いずれにしてもロゼッタが地球にどのような観測データが送ってくるのか楽しみですね。
6年半で1周する彗星に10年かけて接近したのは何故?
無人探索機「ロゼッタ」は欧州宇宙機関(ESA)が2004年3月に打ち上げられたそうで、何と10年もかけて彗星にたどり着いたことになります。
「そんなの地球に近づく前を見計らってに打ち上げればもっと早く到達出来るんじゃないの?」って思いますよね。しかしそう簡単にいかないのがこうした探査なのです。
早い話もっと早く到達するためには推進力が必要なのです。
推進力が必要と言うことは燃料が必要です。
しかし到達を早くするためには膨大な量の燃料が必要なために探査機に積むこと自体が無理なんだそうです。
したがって、今の技術では少ない燃料で如何に長い距離を航行するかにかかっているのです。
そこで考えられたのが「スイングバイ」という技術です。
「スイングバイ」とはその星が持つ重力を使用して加速をするという方法で、イメージとしては彗星なんかがピッタリです。
彗星は太陽から遠い場所ではゆっくりと進み、太陽に近づくにつれて加速していき近日点で最も早くなり再び離れていきます。
「ロゼッタ」は地球や火星を利用した「スイングバイ」によりロゼッタが現在の彗星に迫り追いついた状態になったのです。
そのイラスト動画があるので見てください。わかりやすいですよ。
探査機ロゼッタがチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に接近する動画
そして木星の軌道よりも遠くに行ってしまうことで太陽電池に必要な太陽の光が弱くなってしまうために3年近く“冬眠”していたそうです。
つまりコンピューターと電池を温めるヒーター以外はすべてストップしたそうです。そしてコンピューターに組み込まれた「タイマー」によって目が覚めたそうです。
しかしスタッフは3年近くも音信不通の状態で心配していたんでしょうね。目が覚めたロゼッタから通信があった時はスタッフの間では歓喜に沸いたそうです。
「ロゼッタ おはよう!」
世界中で注目していたロゼッタファンも「おはよう!ロゼッタ、よくぞご無事で」といった喜びの声や、タイマーが上手く作動してくれてよかったなど、たくさんの声が寄せられたそうです。
ロゼッタの今後は?
彗星に着陸したフィラエはそのまま彗星と運命を共にするのは良いとして、探査機の「ロゼッタ」はどうなるのでしょうか?
片っ端から調べてみましたが詳しい情報が見当たらなく、今後のスケジュールとしては彗星と並行して楕円軌道を採るのではないかと思います。
そうだとしたらもったいないような・・・
今後情報が入り次第ここに掲載していきます。
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