火星に人工磁場

火星テラフォーミング計画では、火星の薄い大気圧を上昇させる事が課題になっていますが、その方法というのが人為的に二酸化炭素を発生させて温暖化させるというもの。

火星は平均気温がマイナス20℃~マイナス40℃と非常に低温なことと、気圧は地球の1%と非常に薄く、宇宙服なしでは降り立つことも出来ません。

そんな厳しい環境の火星も人工的に温暖化させて気温が上昇すれば、同時に気圧も上昇してくるので、極冠の氷や地下に眠る永久凍土が溶け出して広大な海が出来上がり、植物も一面に広がるだろうと考えられています。

しかし二酸化炭素を使用した温室効果ガスでは今の火星が暖まるまで数千年かかるとされ、とてもではありませんが現実的ではありません。

それを短縮できる方法に二酸化炭素の20万倍温室効果があるとされる「八フッ化プロパン」と呼ばれるフロンガスのを使用する方法ですが、それでも100年はかかるといいます。

これでは2030年代に火星に人類を送りこもうとしているのに時間がかかり過ぎます。

ところがそれを劇的に短縮できると考えられている方法があります。

それも数年のうちに。

その方法とは・・・

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火星の弱い磁場が大気を逃がしてしまった

太古と現在の火星

これまでの観測により太古の火星には広大な海が広がっていたとの証拠がいくつも見つかっていますが、現在のような干からびた姿になってしまったのは太陽風により大気が剥ぎ取られてしまったと考えられています。

太陽風には高エネルギーの粒子が含まれ、これが蒸発した水蒸気を吹き飛ばしてしまうとのこと。

では何故、火星よりも太陽に近い地球の大気は剥ぎ取れれなくて済んでいるのか。

それは地球には強力な磁場があるからで、火星には弱い磁場しか存在しないので大気が剥ぎ取られてしまったと考えられています。

磁場の様子を比較した画像があります。

地球と火星の磁場の比較

地球には全体を覆い隠すかのような大きな磁場が取り囲んでいますが、火星にはところどころにポツポツと小さな豆粒のような磁場があるだけです。

何故このようなことになってしまったのかというと、火星の質量が地球の11%と小さかったことから内部が冷えて対流が滞ったためにダイナモ効果による磁場の発生が弱くなってしまったためと考えられています。

つまり逆に言えば火星の磁場が復活すれば元の広大な海が広がった温暖な姿に戻れる可能性があるわけです。

その可能性を秘めている方法というのがNASAが提案している人工磁場です。

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人工磁場を作って太陽風を防ぐ

火星に人工磁場を設置すれば太陽風による大気の損失が止まって、コンピューターシミュレーションでは数年のうちに地球の半分ほどの気圧に達するとされています。

気圧が上昇すれば同時に気温も上昇するので火星の氷が溶けて川や海が形成されると考えられています。

それではどうやって人工的に磁場を発生させるのか・・・

火星が地球よりも小さいとはいえ半分ほどの大きさがあります。

そう簡単にはいけそうにも無い気がしますが、NASAによれば、磁場発生装置により、「磁気鞘(しょう)」「磁気圏界面」「磁気圏尾」3層のシールドが出来て、これがバリアとなって太陽風を遮ることが出来るといいます。

そのイメージ画像がこれ

磁場発生装置により発生した3層のシールドで太陽風を遮るイメージ

そしてこの磁場発生装置を何処に設置するのかというと、あのハッブル宇宙望遠鏡の後継機とされているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が設置される予定のポイント「ラグランジュ点」です。

ラグランジュ点とは天文学的にバランスの取れたポイントで、簡単に言えば太陽と惑星の重力が作用するポイントで、次のように複数存在します。

人工磁場発生装置の設置場所

今回の設置場所というのが、火星と太陽の間に磁場を形成するという目的ですから太陽と同じ方向の「L1」というポイントになります。

ちなみにジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が予定している設置ポイントは「L2(惑星は地球)」です。

ただしジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と同様、故障でもしたら宇宙飛行士を派遣するわけにも行かず、失敗は許されません。

計画は立っていない?

ネットを調べてみましたが、今回の火星の人工磁場構想はあくまでアイデアの一つに過ぎないみたいで、計画は立っていないようです。

計画が計画だけに予算が膨大なもにになるはずで、ひょっとしたら膨大な予算で50年も実行されていないアポロ計画よりもかかるのかもしれませんね。

何せ火星まで到着するだけで8ヶ月もかかるのですから・・・

しかし、もし実現可能であればやってみる価値はありそうな気がします。

いずれ地球も火星のように干からびた惑星になって、人類は移住を迫られるときがくるかもしれません。

太陽系に最も近い太陽系外惑星は4.2光年離れていることや、人類移住先候補として判断することはかなり先の話になるでしょう。

そう考えれば火星に人類が移住するというのは選択の余地は無いのかもしれません。

重力が地球の3分の一であることや、食料の確保、未知のウィルス、細菌にどうやって対処するのかなど、様々な問題があると思いますが、今後の危機管理を考えれば必須項目なのかもしれませんね。

もっともこうした計画は火星の自然破壊の第一歩となりますから、どこかの反対派が騒ぎ出すかもしれませんが・・・