ロケットで宇宙に行くためには一回につき100億円かかると言われています。

しかも一度に運べる重量も限られているようで、人ならせいぜい3人くらいのものでしょう。

スペースシャトルではもっと多くの人を運べていましたが、使い捨てのロケットを少しでも再利用できないかと始まったスペースシャトルも、結局点検整備や機体の修繕などでもっと多くの経費がかかることになってしまい運用を終了してしまいました。

現在は国際宇宙ステーションに人を送り込む手段はロシアのソユーズだけとなってしまいましたが、送り込む方法は昔とあまり変わっておらず、いぜん多くの経費がかかっているようです。

そんな中最近になってロケットの一段目だけでも再利用できないかと民間会社が地上に戻す為の着陸がテストされ、何度か成功を収めています。

もしこれが実用化されればこれまでの打ち上げ費用は格段に削減されると期待されています。

ところがコレを上回る画期的な方法が完成しつつあり、これまでの宇宙開発に革命を起こすかもしれないのです。

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宇宙と大気圏の両方を飛べる宇宙飛行機

その画期的な方法というのが宇宙飛行機「スカイロン」です。

判り易いCG動画がコレ

出典:Skylon. The Key To Economic Access To Space?

スカイロンには宇宙と大気圏内を両方使用できるエンジンが搭載されているのです。

それはイギリスのリアクション・エンジンズ社が開発中の航空機エンジンSABRE(セイバー)エンジンです。

これまで飛行機といえば大気の酸素をエンジンに取り込んで燃料を燃やすことで推進力を得ていましたが、SABREエンジンは大気圏内では空気中の酸素と搭載した水素を反応させて飛行し、宇宙空間では液体酸素に切り替えて飛行できるシステムというものだそうです。

つまり大気中の宇宙の両方で使えるエンジンということで、これまでの垂直離陸するロケットは必要ないとのこと。

気になる速度ですが音速の5倍を供給でき、軌道に乗れば音速の最大20倍まで出せるのだそうです。

しかも国際宇宙ステーションへ11トンという質量を運ぶことができるそうなんです。

JAXAの補給機「こうのとり」が最大約6トンですから2倍近い補給能力があるということになります。

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空気を冷やすことで超音速が可能になる

ただ大気中を音速の5倍ともなると空気との抵抗で様々な問題が起こってきます。

現在旅客機の速度は時速800~900kmで巡航していますが、実はもっと速度を上げることも可能だそうです。

あのジャンボ機(ボーイング747)の最高速度は時速1030km(高度7400m以上)とされていますが、安全面や快適度、機体への負担を考えると最高速度では飛べないといいます。

あのコンコルドが2003年に運用を終了したのもこうした問題があっったからこそなのです。

それくらい空気との抵抗が大きな問題になっているのです。

その中でも最も大きな問題がエンジンの正面部分の温度が高温になってしまうことです。

ちなみに音速の5倍にもなるとエンジンの正面部分は摂氏数千度にもなってしまうといいます。

その問題を解決したのがSABREエンジンの瞬時に冷却出来る熱交感システムです。

SABREエンジンは流入してくる摂氏1000度の空気を100分の2秒でマイナス150度まで冷却するといいます。

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現在の100分の一まで打ち上げ費用を削減

現在ロケットを打ち上げるのに1億ドル(日本円で100億円)の費用がかかるとされ、宇宙開発ではこの打ち上げ費用の削減が大きな課題になっています。

もしSABREが完成してスカイロンに搭載されればこれまでの100分の一に削減され、15分という短時間で宇宙に到達出来るようになるといいます。

しかも10年以内に完成させる計画とか・・・

もしスカイロンが実現したらこれまでのロケットでの大がかりな打ち上げが必要なくなるような気がするのですが・・・

そうなるとJAXAが開発中のH3ロケットが無駄になってしまうかもしれません。

H3ロケットの一回の打ち上げ費用が50億円ではスカイロンに太刀打ちできるものではないからです。

あわせて読みたい:H3ロケットの打ち上げ費用が安いらしい

ただ、スカイロンもクリアしなければならない課題が山積しているようで、まだまだ試練は待っているようです。